魅力的な都道府県といえば、どこを思い浮かべますか?
広大な自然が広がる北海道、古都の風情あふれる京都府、文化と経済の中心東京都など、人によって何が大切かで変わってきますが、実は都道府県の魅力度をランキング形式で出している会社があります。
毎年発表の時期にはちょっとしたニュースになっているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
さて、そんな都道県魅力度ランキングで、最下位常連の県と言えばどこでしょう?
そう、私の出身地、茨城県です!
茨城県民は、むしろこのランキングが最下位であることに自負心を持っており、実際、下位から脱出してしまった年には、県知事が悔しがるコメントを発表していました。
たしかに、PRする側としても、「魅力度は最下位だけどこんないいところがありますよ!」と言う方が、オイシイ気もしますね。
私も茨城県出身のはしくれとして、生徒に「魅力度ランキング最下位の先生に教えてもらっているんだと自慢して、ライバルを油断させましょう!」と指導することもあったり、なかったり…
そして、タイトルに挙げた、ピーマンの生産量日本一の県が、この茨城県なのです。
では、なぜそのピーマンが中学受験地理で大切なのか、その理由を見ていきましょう。
宮崎県のピーマン、高知県のナス
中学受験地理としては、「促成栽培」は基本ワードです。
促成栽培は、温暖な気候を利用して、夏野菜を冬の時期に大消費地に届ける栽培方法で、このおかげで私たちは年中夏野菜を食べることができます。
そして、促成栽培が盛んな県として、宮崎県と高知県は必ず覚えましょう。
さらに、宮崎県ではピーマン、高知県ではナスの栽培が盛んであるところまでおさえてください。
宮崎県のピーマン生産量は全国2位!?
受験用のテキストで、宮崎県がピーマンの生産が盛んであることが書いていないものはありません。
逆に、茨城県がピーマンの生産が盛んであることを記述している教材もないのです!
ただし、必ずピーマンの生産は、茨城、宮崎の順番である表は乗っていますし、年間を通して、テストでこの部分が聞かない塾も、絶対にないと断言します。
テキストでは書かないけど、模試などを通して必ず身に着ける事項が受験地理にはいくつかあります。
その最たる例が、この「ピーマン問題」なのです。
「ピーマン問題」が起こる仕組み
では、なぜテキストと模試でこのようなギャップが起きるのでしょうか。
その理由は大きく4つあります。順番に解説します。
①ピーマンは私たちの食生活の重要な一部であること
小学生にとって、ピーマンは嫌いな野菜の上位にランクインすることもある野菜ですが、大人になる過程で多くの人がその独特の苦みに魅力を感じ、また、大変栄養があるため、ピーマンが置いていないスーパーマーケットはありません。
模試の出題者にとって、生活の一部であるピーマンについて、主体的に考えたことを確認するにはうってつけですね。
②イメージとのズレがあること
これはメロンについても同様です。
メロンと言えば?夕張メロン?だから北海道?残念不正解!これもなんと茨城県が第1位です。
北海道は第3位(ちなみに第2位は熊本県)。
では、日本なしは?
知ってる、鳥取県でしょ!
これもハズレ。
鳥取県は第5位。
じゃあ、第1位はどこ?
これも茨城県(注:2019年データとして、予習シリーズに掲載。覚えるときは、「茨城、千葉、栃木」をセットで覚えます)!
③入試で繰り返し出題されていること
こんな格好の題材を、受験校の問題を作る先生方が見逃すはずもありません。
毎年必ずどこかの学校で出題されています。
そうすると、模試の問題を作る先生方は、入試研究のエキスパートですから、当然何度も聞いてくるのです。
④近郊農業と促成栽培の対比であること
難関校受験生には、①から③のことを伝えた上で、宮崎県ピーマンと、茨城県ピーマンの比較をしてもらいます。
記述問題として、近郊農業と促成栽培を比較させる問題対策として、このようなことを考えてもらいます。
茨城県をおさえずに中学受験をするのは「ごじゃっぺ」
茨城県の方言で、仲良し同士で、軽い親しみをこめつつ「バカ!」みたいに言いたいときには、「ごじゃっぺ!」と言います。
私は東京に暮らして20年ほどですが、この複雑な茨城県が関連する農業問題をまちがえると生徒さんに、つい「ごじゃっぺ!」と口をついてしまうこともありました。
と、それは冗談にしても、特に首都圏に住む受験生にとって、受験校の先生方は、小学生が身近なことにアンテナを張っているかどうか、大変興味をもっています。
ピーマンだけでなく、メロン、日本なしでも第1位。他にはれんこん、鶏卵でも第1位。
予習シリーズが今お手元にある方、5年上の「関東地方の農林水産業」のページをご覧ください。
茨城県の上に、代表作物として、何が書かれていますか?
そう、白菜!
当然、「そうか、白菜も茨城県が第1位なのか」と考えましたよね?違う!
2022年は、なんと長野県が第1位で、茨城県は第2位!
この「事件」については、長くなるので、また別の記事で解説します。
まとめ
いかかでしょうか。
たかがピーマンと侮ってはいけないことが、少しでも伝わったかと思います。
何度も出題されるものには、必ず理由があります。
その理由を知ることは、中学受験地理をただの暗記科目にせず、どんな問題にも対応できる本当の学力を身に着けることにつながります。
中学受験地理の基本的な取り組み姿勢について知りたい方に向けて、以下の記事で総論的にまとめておりますので、よろしかったらご参照ください。
コメント